契約書が重要であることは、その契約の対象が国内取引であるか国際取引であるかを問わず言えることです。
近年、日本においても契約書を重視する文化が根付きつつありますが、契約書はただ作ればよいという ものではなく、その内容を十分に審査してから契約を締結する必要があります。
ところが、海外企業と取引する際等に、英文で契約書を作成する必要性が出てきますと、その内容の検討が困難な場合が少なくありません。これは、日本語での契約書を数多く検討し、締結してきている会社であり、かつ英文の読解力を十分に有するスタッフが社内にいる会社であっても、例外ではありません。
英文契約には、日本の契約では見慣れない説明条項(whereas clause)、救済条項(right and remedies clause)、または分離条項(severability clause)などの一般条項などがあり、また、準拠法条項(applicable law clause)や仲裁条項(arbitral clause)など日本語の契約書ではあまり重視されない規定が重要な意義を有している場合も多いのです。したがいまして、これらの条項の正しい理解なくしては、英文契約書を安心して作成することはできません。
また、外国企業から契約書を提案される場合には、日本の契約書では大まかに書かれていたり、「別途協議する。」と済ませたりしているような条件を、非常に細かく規定している場合が多いですので、それらの細かい諸条件を正確に理解することなしに、その契約書に潜むリスクを見出すことはできません。多くの場合、相手企業に非常に有利な内容となっており、そのまま署名すると、貴社の権利・利益が非常に制限されることになりかねません。
加えて、日本企業の英文契約担当者の頭を悩ませているのが、相手企業の所属する国の法律の規制です。特に、準拠法を日本法とするだけではクリアできない、外国の強行法規(独占禁止法)の規制については、盲点となっている場合が多いです。
そこで、英文契約書を作成する場合には、英文契約書を多く手がけている法律家にアドバイスをもらうことが、万全な契約書を作るためには必要不可欠だといえます。 |